かどま発女性アーティスト9人展より
画家 山田起久美
少林寺拳法でストレス発散
物心付く前からえんぴつを持ってはらくがきをするのが大好きでした。決して絵はうまいほうではなかったと思いますが、好きこそものの上手なれといった具合でしょうか。高校生の頃、自分の進路について考えたときに「プロの画家になりたい」とはじめて意識し芸術系の大学を目指す決意をしました。高校では美術部に所属していましたが画塾には通っておらず、本格的に絵を学び始めたのは高校2年の終わりと、かなり遅いスタートになりました。案の定1年目の受験はことごとく落ちましたよ。芸術系・美術系の大学・短大を5・6校受けましたが、受験会場で愕然...やっぱりみんなうまい!当たり前なんですけど、基本がちゃんとできていて当然のようにうまい!!!私には足りないことがたくさんある...それを知ることができた受験1年目でした。それから基礎を必死に勉強しなおし、翌年見事美術系大学に合格しました。
入学後、何か武道をしたいなぁと探していたところ、偶然にも出会った少林寺拳法にハマりました。空手と柔道の中間的なスポーツですが、力技がないので女性でも始めやすいスポーツです。ストレス発散にもなりますし、何しろ健康のため、そして護身術を身につけることもできるとなればなおさら。始めたときは3級でしたが最後は2段にまでなり、県大会2位の戦績を修め、大学生の全国大会にも出場しました。
外国でわかった日本の素晴らしさ
大学卒業後、ミケランジェロに魅せられて単身イタリアへ。フィレンツェの語学学校と美術学校に通いながら、西洋美術発祥の地でたくさんの作品に触れました。学校では建築、音楽、服飾、宝石などさまざまなジャンルの方々と知り合い、とっても刺激を受けました。今でも連絡を取り合う仲間ができました。
街には教科書などでしか見たことのない作品があちらこちらに...実際に見てみるとその作品から放たれるパワーに圧倒されますね。言葉にならない感動でした。作品そのものから溢れ出るエネルギーがすごいですね。
そのイタリアで偶然にも葛飾北斎の浮世絵に出会いました。それまであまり日本美術に興味がなかったのですが、日本から遠く離れたイタリアで出会う日本の文化に心動かされました。それまで油絵を専門に勉強してきましたが、思い切って画材をアクリル絵具に変え、日本画にみられる特徴を取り入れた作風を模索し始めました。
あなたの表現したいことは何ですか?
帰国後、教員免許を取得するために通信制の芸術大学に編入学しました。イタリアでの経験から日本人として何を描いていくのか、まだ作品の方向性に迷いがあった私にとって、この学校は大変厳しいところでした。自分の描いた作品についてみんなの前で先生に説明をしないといけないんですが、コンセプトやテーマをはっきりと言葉で表現することを求められました。ときには「あなたの表現したいことは何?」「普通の絵を描いていて楽しいか?」などと言われることもありました。でもその先生のおかげで自分が描きたいものは何なのか?これがやりたい!と言い切れる自信があるか?それを言葉として表現できるか?といったところを徹底的に鍛え上げることができ、自分の求める表現方法を見つけることが出来ました。
この作品(写真上)は大学の授業で描いた自由課題です。古代ローマの遺跡が残る「フォロ・ロマーノ」をアクリル絵具で描きました。留学時代にスケッチしておいた下絵をもとに(写真右)仕上げました。油絵とは違って版画のようなべたっとした質感で表現しています。油絵具で描くとどうしても西洋絵画になってしまうんですよね...。アクリル絵具を試しに使ってみたら、自分の描き方にしっくりきたので、今もこの画材を使って描いています。この作品は次のステップに進むための、転機となった作品なのでとても想い入れがあります。
わが街「門真」に魅せられて...
基本的には自分が見たものしか描かない主義です。
最近は門真市内を歩き回っては、いろいろな穴場を探しています。これは近所の公園を描いたものです(写真左)。ピンときた場所には何度も通い、下絵を作成します。下絵は納得いくまで構図を練り、線を崩していきます。どこまで自分の世界を創り上げていけるのか、ここがいちばん苦労する作業です。普段は風景画ばかりですが時には人物画(写真右)も描くんですよ。
自分にしかできない表現や技術、後世に残る新しい文化・ジャンルを創っていきたいと...向上心を忘れずに、志高く頑張りたいですね。いつも自問自答しながら、何を表現したいのか、自分が納得できるものを考え、悩み、苦しんだ末に新しい表現が出てくる。そして次の作品につながっていきます。私の絵を見て何かを感じてもらえるような作品を創っていきたいですね。
生涯、絵を描き続けたいと思います。どこまでも追求したいですね。困難な道ではありますが、芸術というのはゴールがないものですから。
9人展には新作を展示します。大きな作品を制作中ですので、ぜひお楽しみに。画家 山田起久美
大学では油絵を専攻する。ミケランジェロにリスペクトし、卒業後に西洋美術発祥の地・イタリアへ1年間滞在する。そこでイタリアの文化、多くの芸術作品(シモーネ・マルティーニ、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、ティツィアーノ、カラバッジョ)に触れ、感化される。
ミラノで葛飾北斎の浮世絵と出会い、日本文化・芸術の素晴らしさに改めて気付く。帰国後は画材を油絵具からアクリル絵具へと変え、表現方法も浮世絵に見られる完成された構図、フォルムの単純化、平面性の中にある空間性、また版画の鮮やかな色調を意識して自身の作品の中に取り入れるようになる。
「芸術は経験である」とジョン・デューイが定義しているように、日常生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたことなどを大切に受け止め、作品に反映させていきたい。
1997年 関西新制作展入選
2003年 第56回芦屋市展 元町画廊賞受賞
2004年 グループ展「7人展」ギャラリーRAKU 京都
トーキョーワンダーウォール展 入選
2007年 アクリル美術大賞展 入選
グループ展「風雅第6回絵画展」ギャラリー風雅 大阪
2008年 GEISAI#11 東京ビックサイト
2009年 個展 門真市立市民交流会館「中塚荘」 大阪
http://kikumiart.web.fc2.com/
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